004雝 甲骨文字365
自然界における形状は鉱物でも植物でも動物でも、必ずや力の関与によって生まれている。
そこには対称性と平衡力の成立と破れがおこり、、、そこに色をともなって形成された花や魚類や鳥たちは、詩となり写真となり映像となってアートに変相し、印刷されたりVRとなってデザインに直結する。~140夜 かたちと力 松岡正剛「デザイン知」~
365日甲骨文字004原姿力発想004雝(雍)
平成31年1月4日20190104太陰太陽暦1129辛丑[38]
今月1月は、お宮の文字を中心に考察する中で□の造形をテーマに探究。
今回は、ようよう(隹+口)
見慣れない文字だが、古代文字(甲骨文字)には、鳥の象形(隹)のかたちと共に美しく刻まれている。なんだか、、、鳥が、、、□に止まって?鳴いている~?ぞ~。
隹[ふるとり]に纏わる文字は、生き物の文字の中でも断トツに多い。東アジア以外の古代文明にも、鳥の化身の神話や寓話は数多あり、イギリスの詩人ワーズワースは湖畔のフクロウと言葉を交わす童を鳥の化身としてなぞられた。鳥にまつわる世界は、多くの先人の想像力が発動されていて、物語となる。―生き物分野の文字に関しては8月項[隹~風]にてー
さて、一月のお宮に纏わる文字のひとつとして、この□を合わせた字形に隹の姿をもつ文字。
この下部の□はどのように生まれた造形なのか?
司馬遷の史記にある商王朝の文献[殷本紀]には、このような物語の記述がある。
帝武丁、成湯を祭る。明日、飛雉有り。鼎耳に登りて、鳴く。武丁懼れる。祖己曰く、王よ、憂ふること勿れ。先に政事を修めよ。
我が国の元号の白雉にも通じるかの如く、飛ぶ雉の記述。しかもその雉は大きな鼎の上に登って鳴いているという。
甲骨文字:よう(隹+口)
実物をトレースして古代を感じる。
殷墟4例うち2例(ともに第一期)貞、勿…雝芻 甲骨文SuibunTrace合125
我が国にも、古(いにしえ)から鳥は死者の霊魂を運ぶともいわれ、万葉集にうたは残る。
「淡海[おうみ]の海、夕波千鳥[ゆふなみちどり] 汝[な]が鳴けば情[こころ]も、しのに古[いにしえ]念[おも]ほゆ」柿本人麻呂
「み吉野の象山(サキヤマ)のまの木末[こぬれ]には、ここだもさわぐ(ここぞとばかりに激しく泣いている)鳥の声かも」山部赤人
うたには風景がある。鳥の囀りや、木々の木魂も、耳済ませば歌のように響く。象徴としての「隹」は、この四角い丁の上で鳴き、何をうったう(歌う)のであろうか。
甲骨文SuibunTrace2 合125
癸酉卜賓?…貞,呼雝…𠂤(㈲魚 合3130
甲骨文から時代を経て、金文の雝の字形になると、巛(せん)(水)+□(宮室の等)+隹(とり)の会意字となる。古く璧雍(へきよう)とよばれた聖所である。引流した水が(ふさ)がれて流れず、沼沢が形成され、渡り鳥がくる。これを祖霊が時を定めて帰来するものとして、池の中の島に宮を築いて神殿とした。璧はまるくめぐる意。その中央に祀所(斎場)を設ける。
金文に「金高京辟雝(ほうきょうへきよう)」としてみえるもので、
〔詩、大雅、文王有声〕に「鎬京(こうきょう)辟廱」の名がみえる。金文にはその大池に漁して、魚鳥の類を神饌とする記述がある。
★甲骨文合集3130には魚(神饌)を侑(すす)めることを占う甲骨文かもしれない。
のちの時代の文字の意味に1.璧雝、周の聖所、祖廟、霊台霊沼。
とあり、周時代に聖なる場所として認識された。
鳥の集う沼や沢は、人々があつまるspaceへと。
水面を渉る鳥のむれむれ、ゆうゆうと。
さて、お気に入りのお店のある下北沢へ髪をきりいこうかなぁ。。
実家の戸塚は、昔は泥の沼が広がっていたっていうし、
沢と沼、渡り鳥の飛翔する姿は美しい。
古代人の視点は、自然と共に、大きな空を飛翔する。
世界遺産:殷墟~安陽(甲骨文字の発祥の地)にて。
婦好の鼎に登りて、、、。水分、世界遺産:安陽の鼎に陟る。の巻
原姿力発想003雝(雍)了。
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