午考2 縄文から連綿と紡ぐ絲の世界。
- むらかみ すいぶん

- 2024年3月7日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年3月13日
午年は「うまどし」と読むのが通例だが、動物の「馬」ではない。
※いきもの十二支が普及した理由については過去ブログを参照→巳は子

造形発想の原義は、絞った「絲(いと)」の象形である。
その糸から生み出されたものは多く、糸のつく漢字の持つ意味は深い。
「絲」を撚(よ)り、結び、繋げた、さまざまな発想から、人類にはあたらしい世界がおおいに啓かれた。

午年(うまどし)にARTISTである「キャロルキング」の名盤は
「tapestry(タペストリー)」というタイトルで日本盤は「綴れ織り(つづれおり)」と訳された。

美しいタイトルに加えて、レコードの60年代の空気が最高に心地よい。
語りかけてくるような、土の匂いがする。
ジャズやオールディースから、現代のsongwriter時代へつないだ、まさに「つづれおり」

「絲」と言えば、列島にも素敵な歌詞のうたがある。中島みゆき媼も歌っているとおり、「たて」と「よこ」が折り重なりあって時間は豊かなCircleをえがくのだろう。
マンダラCircleで言えば、
午年ーね年ラインは「タテの絲」そのものである。系統は先祖から現世へと連綿と繋がり途切れることなく紡がれる。
「ね」は生命の誕生。「糸」は祭祀の誕生で、死へ向かう入り口となる。
十二造形の真ん中であり、それぞれが「タテ」のラインで結ばれ、はじまりを意味する。
「よこの糸」は卯ー酉のラインで、食と酒を分け合う直会であり、現代でいう「ヨコのつながり」である。
まさに、その世界を表現したものに他ならない。

「午」造形について。甲骨文字に刻まれた期間のなかでも、時期によりすこしづつ変化した。
最期には一本の棒になってしまう。そして現代の漢字造形「午(うま)」へと変遷する。
※甲骨文合集には約四万片以上の甲骨の欠片が収録されている。時期が番号順で掲載されており、その中でも番号が大きいのがおおよそ後期造形である。

午Circle~糸にまつわる文字は多く、
午造形の表現する「糸」について
その意味をより明確にするには祭祀について、その「祈り」の世界に直接、
具体的に触れねばならない。
考察する上でも欠かせないヒントが我が国には奇跡的に残っている。
我が国の榊の構造である。

糸はしぼりねじらせれば黒の意味、玄人となる。

糸を生み出す蚕もまた、甲骨文では刻まれている。
我が国の皇后は蚕を飼っている。

現代の祈願にも榊は必要不可欠なものだ。玉串奉奠の歴史は長い。
人類は「樹木の生命力」をうつし、その人知を超えたエネルギーに託した。
「楽」や「療」も艸木と絲の造形が含まれている。

榊に付加する麻の幣(しで)のほかにも、さざまな「糸」の使い方がある。
神事である回しと土俵、神聖な物だけで成り立つ競技演舞である。
また大きな注連縄として、茅の輪や、御神木の霊験あらたかな徴(しるし)にもなる。
御宮のご神体の前にも注連縄は奉製される。
いたるところに「神」がいる。



神社の形式以前の
その原点をたどれば、沖縄の結縄や
インカのキープも大事な考古学的資料である。

そして縄文土器は、文字創成時の、口(さい)の発想と同じ発想である。
そこには流動的な管である人体をもった人間とは異なる底のある器の思想がある。
口(さい)については別ブログにて。

また、午に口(さい)を加えた午口という祭祀儀礼が甲骨文字には刻まれている。
この文字は現代にはない。所謂、亡くした失った文字である。
漢字に継承されなかった文字の中にこそ、
その最初期の発想が秘められている。
われわれが現代に亡くしてしまったもの。
それでも人類にとっては、かけがえのない大切なもの。
シンプルな造形から、豊かな根源を読み解くことができる。
特に発想






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