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酉考3  響きあう埶術の香り。

「五大にみな響きあり、十界に言語を具す、六塵ことごとく文字なり…法身は、これ実相なり」






「響く」という文字は「郷」の文字と「音」でできている。饗食にコトバを具えて響き合う。

酒は藝とも郷とも深く関わり合いを持っている。


まずは蓺と福の祭祀。埶朮と酒の深い関係を刻んだ甲骨文字がある。

「福」は示(案)と畐(ひょく)、廾を付加する造形もある。

示は神を数える数詞でもあり、神そのもの。畐は雪ぎ口のある御神酒である。

現代でも強い吉祥を表す文字として通用している。



福…注ぎ口のある酒樽(御神酒)+示【案】+廾(捧げ持つ両手)。漢字「福」造形の一部である畐(ひょく)は、器の腹のゆたかな酒樽の形を画いている。宗廟に酒樽を供えて祭り、福を求めることをいう。




(御神酒)に纏わる文字として、現代では吉祥ともされる「福」の文字がある。なかでも2字連語で刻まれる「埶福」祭祀は、古代祭祀の中でも重要なものであった。

藝術の「藝(埶)」造形は、艸木を奉じる跪座(蹲踞)した祭祀者の祈りを表現する。


『原姿力發想圖本』P011埶

『十二支の發想』P194福


 埶とはなにか。その造形は蹲踞(そんきょ)し、草木を丁寧に奉じる儀礼作法的仕草の造形表現。神事的、政治的 芸術に通じる意味をもつ仕草であり、生命を育てる身体作法が描かれている。後代に技芸の意味に転用された。金文で『土』を加え、土に植えた形『埶』、更に篆書以後に草を刈る『芸』が分割付加され『藝』となった。篆書には『蓺』も作られている。新字体は『埶』の部分が省略され「芸」の部分だけが残った。

用例

①祖先母への祭祀…合2543母庚に侑せんか  

②藝鳥星→星部参照…合11500

③芸福祭祀(6例)合23732 合25413(2期)

合27064 合27543(3期)合30746 補8155

 この「埶」祭祀と共に執り行われる祭祀に「福」があり「埶福」祭祀として甲骨文にたびたび刻まれている。



世界の宗教の核となる部分や、その哲学的思惑には、共通する儀礼世界がある。



神道では直会(なおらい) 


キリストは、最後の晩餐がある。


プラトンの著作は『饗宴』は「Symposium」の訳である。


神道の直会、最後の晩餐、シンポジウム、食卓を囲むということ。故郷(ふるさと)の「郷(ごう)」の文字は、甲骨では人と人が皀(食)を中心に相対し囲んでいる造形である。漢字では「饗宴(symposium)」 プラトンの有名なタイトルを訳したものは、響き合う「宴」である。


饗…人々が食器を囲んでいる形=饗宴の様子。人の対坐する形。饗宴のときの盛食の器を中心にして

左右に相対坐する形。のち糸と、邑【おおざと】に変形し郷里の意味「郷」ができる。饗宴の意味は

「饗」の文字に。甲骨文では祭祀儀礼のほか、地方領主などを歓待する際にも行われた。現代の直会(なおらい)。もてなす。饗宴を設けること。




派生同源文字として、甲骨の段階で「即」「既」の文字も刻まれている。中央は「皀(食)」だが、異体字に「酒」が刻まれた文字も確認できる。

 

即=(皀+蹲踞) 食事の席に即く表現。祭祀儀礼。 甲骨用例1祭祀儀礼 2つく 3出組貞人名 4即日


既=皀+既(き) 食事を終えたことを表す。甲骨用例1過去 2祭祀名 



饗食の「郷」の基本形は、酒ではなく


「皀(キュウ)」造形を中央にして対座する甲骨文字が多い。

「皀」は食を意味する造形である。






対座して囲むものは「吉の上部」などもあり、

亡失文字には、まだまだ

多くの深まる儀礼の表現が刻まれている。お酒でも飲みながら造形を眺めれば

3400年前との通路が啓けて、たのしく酔えるだろう笑 




酒でも飲みいこ。いっぱいやろうぜ。

たのしいお酒には深い味わいがある。


直会の響きと埶術の香りを。



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