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戌考5 虁の神の隠しもつもの。

樂神舞神の夔が手にするもの。それは十二支造形の「戌(いぬ)」を逆にしたものだった。われわれが普段、日常で目にすることがない漢字がある。漢字には「き」→「虁<環境依存文字>」で変換可能だが、ある意味では、亡くした失った文字(亡失文字)の部類にも入るかもしれない。古く我が国では、不思議な生き物や、得体の知れない生命体を「もののけ」と呼んだりした。



戈を手に持つ造形はほかにもある。

また春秋時代には、もののけを集めた不思議な書物:山海経がつくられた。


 「戌」がいかに特殊な神具であるか。まず、人間が手にして闘う武器ではない(鉄器ではなく青銅器)ということ。また不思議な生命体である「虁」が、手を後ろに回して隠し持つものとしてものとして描かれていることからもわかる。この「戌」を手に、しかも隠し持つという得体のしないいきもの、その名を、のちに「虁(き・もののけ)」と名付けた。



神話のなかの夔

 上部は、目の上の眉を強調した造形、下部の足は舞う仕草の表現を伴い漢字「虁(き・もののけ)」も文字が作られた。のちの「書経:舜典」に「ああ、われ石を撃ち、石をうてば百獣み率ゐ舞ふ」とあり、百の獣を率いて、演舞する特別な神と認識されたりもする。手足に躍動感が見えることから、他の動物や獣たちを凌駕し百獣を統率する力すら感じさせ、そのあしさばきの姿を舞する神とした。



水分トレース 好循環SAPIENS理論 虁の神と夏文字考察。


「夏」王朝という名前の王朝は存在しない。夏ではない名前がわからない王朝は存在したであろう。しかし夏のような文字の王朝であれば「虁」王朝かもしれないが、それは誰にもわからない。のちの時代に作られた文字「夏」の文字変遷をみると、類似性も確認することができる。 


甲骨文での虁の神は、山の神(岳)、河の神、の二大自然神に並ぶ神として、祈年祝詞にも現れる。(合33273) その造形は多種多様で、短い尻尾が見えるため猿神ともされ、年(みのり)を求め、燎(お焚き上げ)祭祀をし祈年を大雨に祈る甲骨文もある。



軍神としての性格もあり、敵対勢力の「く(※工)方」との戦闘に呼びだされた軍事関連文に登場する。

手に戉を隠し持った造形は四方八方に睨みをきかせる守り神の役割をもっていたのかもしれない。

特別な神も隠し持つ特別な神具。それが「戌」であった。


十二支「戌」の神具を所有する「虁」

十二支の循環の有終の美を飾る。最期にむけて。










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